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メディア掲載情報

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株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2023年9月号に当事務所のお客様である、株式会社ディックコーポレーション様がご紹介されました。

「戦略経営者」2023年9月号

後継者×経営者インタビュー ◎ディックコーポレーション

10カ月の学びを糧に「誇り高きメーカー」を目指す

「防ぐ」ことに特化した衣類の販売を手がけるディックコーポレーション。後継者である土田悠城さんは2022年10月から10ヵ月におよぶ経営後継者研修を受講した。父親の土田敏雅社長とともに、研修を終えた今の心境を聞いた。

――会社概要を教えてください。

土田悠城さん 「防ぐ」をテーマに「Foot Gear」(靴下等)、「Protect」(蜂駆除用の防護服等)、「WorkGear」(作業用品・防虫衣料等)、「Wear」(インナー等)の4カテゴリーの衣料用品の企画販売を行っております。最近は自社ブランドに力を入れており、全国のホームセンターを筆頭に量販店やECサイトに卸しています。また、ワーキング用品の国内卸販売や店舗支援事業を、グループ会社であるワーク繊維で手がけています。

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土田敏雅社長と土田悠城さん(右)


株式会社ディックコーポレーション
業種:機能性衣料品の製造販売
設立:1994年4月
   (グループ会社ワーク繊維株式会社の創業は1959年)
所在地:新潟県柏崎市田塚2-5-18(本社)
    東京都文京区本駒込2-28-28(東京SR営業所)
売上高:20億円
社員数:43名

事業承継は「父への恩返し」

「防ぐ」に特化した同社製品「蜂防護服ラプターPRO」

「防ぐ」に特化した同社製品
「蜂防護服ラプターPRO」

――悠城さんが後継者の立場にあることを自覚したのはいつですか。

悠城さん 父が会社を経営していることは物心のつく前から何となく理解していましたが、「自分が父の後を継ぐんだ」と承継を熱心に考えていたわけではありませんでした。当初は個人的に興味があったビールメーカーに就職しようと決めていたのですが、父と将来や事業承継について話し合うなかでキャリアプランを見直し、大手日用雑貨・住宅設備用品の製造小売業に就職しました。

――では、事業承継を真剣に考えるようになったきっかけは?

悠城さん 前職で3年目を迎えるころに、父から「後を継いでみる気はないか」と持ちかけられたことがきっかけです。この頃は働くことの大変さを痛感していた時期で、社会人としての経験を積むうちに、経営者として多忙を極めるなか、私を育ててくれた父に対する尊敬と感謝の気持ちが改めて湧き、何かの形で恩返しがしたいと考えるようになりました。そんななかで持ちかけられたのが後継ぎの話。「会社や私自身の成長を通して父に恩返しがしたい」との思いから、父の誘いを受け入れることにしました。

土田敏雅社長 息子も私も登山が趣味で、ことあるごとに彼を誘っては各地の山を一緒に登りました。登山中は腹を割って話すことができ、当社が社会に提供している価値、経営者としてのやりがいなど、私が日ごろ考えていることを折に触れて伝えていました。「後を継いで事業家を目指さないか」と打ち明けたのも白馬岳に登っている最中のこと。息子も私の思いに薄々感づいていたようで、二つ返事で受け入れてくれました。とてもうれしかったですね。

――後を継ぐにあたり、プレッシャーや不安を感じたことは?

悠城さん 自社での勤務経験が一切なく、前職も会社員だったため、経営に関する知識やスキルも身についておらず、漠然とした不安を抱えていました。事業承継や後継者としての責任の大きさなど、不安要素が頭をよぎるなかで父から勧められたのが「経営後継者研修」でした。

従業員の活躍を後押しする!

――研修を終えた率直な感想を教えてください。

悠城さん 会社経営に欠かせない知識やスキルを学ぶ貴重な機会になりました。例えば「沿革・経営理念分析」では父やベテラン社員へのインタビューを通して自社がこれまで大事にしてきた〝思い〟を知り、「経営総合実習」では実際に中小企業を訪問し、その会社が抱えている経営課題の解決策をこれまで学んだ知識を総動員して提示しました。ほかにも会計や人的資源管理など、経営者が最低限身に着けておくべき知識・スキルを10カ月かけて学んだことで、会社を受け継ぐ〝自信〟が付いたと感じます。研修を通して「世の中に付加価値を与え、社会貢献したい」という経営者としての目標も定まり、自社を継ぐことへの意欲も高まっていきました。

――特に印象に残っているカリキュラムは何でしょう。

悠城さん ゼミでの「専門分野研究」です。私の所属していたゼミでは「老舗企業の経営」をテーマに、老舗と呼ばれる会社がこれまでにどんな危機に直面し、それをどう乗り越えてきたのかを研究しました。老舗企業を複数社訪問し社長や従業員の話を聞く中で気づいたのは、長く続く会社ほど自社の伝統を大切にしつつ、新しい事業にも積極的に取り組んでいること。いわゆる「不易流行」です。当社グループは来年で創業65年を迎えますが、これから100年、200年と存続・発展させるためにも、これまで追求してきた理念を大事にしつつ、自社を成長に導く新しい取り組みにも着手しなければならないと痛感しました。

「IMPACT LOCK」

「IMPACT LOCK」

――研修の集大成であるゼミナール論文では「誇り高きメーカーを目指す」と宣言されました。具体的な将来構想を聞かせてください。

悠城さん 現在は量販店等の法人顧客からの意見や要望をもとに製品を開発することが多いのですが、今後は消費者の声にも耳を傾け、消費者自身が自覚していない潜在的なニーズに応える製品を多く届けたいと考えています。これを実現するためにも、自社のビジョンと誰に・何を・どのように提供するのかという事業領域を明確にし、消費者の潜在的なニーズを満たすための商品戦略を具体的に描くことが、私のミッションと捉えています。

――最後にこれからの抱負を聞かせてください。

悠城さん 研修を通じて、経営者として大切にしたい考え方に気づくことができました。それは「会社の主役は従業員である」という考え方です。会社は経営者の力だけでは発展しません。従業員全員の活躍が不可欠です。従業員の活躍を後押しするためにも、まず自社に戻って早々に社内のあいさつ回りを行い、従業員の業務内容の理解に努めます。

――社長から悠城さんに激励のメッセージを。

土田社長 社長の仕事は登山と似ているところがあって、一歩一歩着実に歩みを進めることで目の前の景色が広がり、はるか遠くの頂きに到達できます。経営者として結果を追求することも大切ですが、焦りは禁物。従業員と綿密にコミュニケーションを図りながら、研修で学んだことを発揮し、今以上に当社を成長させてくれることを期待しています。

(取材協力・税理士法人ツチダ会計)